(阪急電車は季節に合わせてヘッドマークが変わります。今は春を先取り。)
明後日から、伊丹市でも県会議員選挙が告示になり、街中が選挙色に染まります。選挙には「地盤」「看板」「カバン」がなければ、とはよく言われる言葉ですが、一体いくらかかるのでしょうか?
選挙に使ってもいい金額と使える金額とは違います。派手な選挙運動を展開する候補者だけが当選することのないように、選挙運動費用の上限が決められていて、伊丹市議会議員選挙の場合、
4月16日現在における選挙人名簿登録者数÷議員定数(28)×501円+220万円
おおよそ500万円が上限となっています。
スタッフの人件費や事務所の賃貸料、椅子・机などの備品、事務所看板、お茶などなどが含まれます。選挙運動の透明性を図るために、支出報告書を出すことも義務付けられています。
その一方で、お金がなくても立候補ができるように、公費負担制度があります。
1つ目は選挙運動用自動車(宣伝カー)費用で、運転手・燃料付きハイヤーを利用した場合は1日につき上限64,500円。レンタカーの場合は、レンタル料15,300円、運転手12,500円、燃料費7,350円を公費で賄ってくれます。
2つ目は、選挙ポスター費用です。品質やデザインにより単価は様々ですが、ポスター掲示場数381か所分の381枚合計で、上限が491,263円となっています。
3つ目は、選挙ハガキの郵送料で、候補者1人あたり2,000枚まで公費で出すことができます。
ここまでは、建前上の話で、実際の選挙は告示の前から準備が必要です。それに使う金額も人さまざまでしょう。
たとえば、駅前で配布していたり最近よくポストに入っていたりする各候補者のカラー(あるいはモノクロ)リーフレット。政治活動・講演会活動のチラシとなっていますが、本当は候補者の宣伝用ですね。これは、1枚5円~10円、これに業者などを使ってポスティングしてもらうとやはり5円くらいかかります。伊丹市内約8万戸に配布しようとすると、70万円~80万円かかります。4号まで出している人はこれだけで300万円は下らないのでしょうね。
郵便代を公費負担してもらえる選挙ハガキも、印刷は自前。1枚10円程度かかりますし、たくさんに人にお願いしても全て戻ってくるとはかぎりませんから、2000枚をはるかに超える枚数を印刷することになります。1万枚印刷すれば10万円。
事務所も駅前のいい場所に借りると、1カ月数十万円はかかりますから、準備を長くとればとるほど、金額は跳ね上がります。
後援会看板や事務所看板もお金がかかります。細長い後援会看板で1枚1万円前後(市内に12本立てられます)、事務所看板(2枚)は10万円程度。
候補者のタスキ、これが以外に高価で1万円~3万円。スタッフ用の名入れ(候補者の名前が入ったものは×)パーカーも1枚2000円~3000円。スタッフを揃えればば揃えるほど枚数も必要ですね。
先ほど、レンタカーは公費負担がある、と書きましたが、選挙カー用の看板と音響機器一式で30万円~50万円。街頭宣伝用のメガホンも10万円程度します。
誰かに格安で作ってもらったり、借りたりしても結構な額がかかります。1度作って4年ごとにそれを使うという手もありますが、保管場所や老朽化など課題もあります。
そして、立候補するには、供託金という保証料が必要で、市議会議員選挙の場合は30万円を法務局に供託します。このお金は、一定得票すれば戻ってきます。これは自前でキャッシュが要ります。
環境を大切に、エコに、無駄遣いを止めて、と言われていても、チラシを大量にばら撒かなければ名前を覚えてもらえない選挙、駅に立たなければ活動していると思われない候補者。上限は決まっているけれども、それでも準備と本番と合わせて数百万円の資金が必要な選挙。公務員など仕事を辞めなければ立候補できない選挙。選挙のあり方を見直す時期に来ていると思います。