ドイツに続いてイタリアも脱原発の道を選ぼうとしています。原発事故の起きていない国でさえそうなのですから、実際に事故が起き終息の見込みもつかない日本で、脱原発の「ヒステリー状態」が起きることは、当然のことと言えます。
各地で脱原発の学習会やデモが開かれていますが、先月になりますが、私も参加してきました。
日本の原子力発電所の現状の資料をいただいたので、おさらいと思って分かりやすくまとめてみました。原発一覧をダウンロード
54基ある発電所のうち、現在営業運転をおこなっているのが17基で、30%。原子力発電所は13カ月ごとに定期点検を行わねばならず、現在定期点検中の16基は地元の合意が得られなければ稼働することができません。また、現在運転中の17基のうち、今年中に定期点検の時期が来るものが5基、来年の3月までが12基。福島原発事故を受けて、地元自治体が再稼働に合意するかどうか、かなり厳しいと考えれば、来年の3月には原発による発電は0ということになります。
イタリアの脱原発の国民投票を受けて日銀総裁は、電力不足によって経済成長が滞る、との声明を発表しましたが、人の命と経済成長とどちらが優先か、という課題に、暗黙の回答を出したように思われます。
一覧表にあるように、原発のある地域は都市部から遠く離れた地域です。都市部にいる者たちが、経済成長が滞るから、再稼働を受け入れろ、国が法律を作って再稼働を義務付けろ、とは無神経な考えではないでしょうか。
さて、関西電力が15%の電力削減を要請し、さもなければ停電もありうる、と発表する根拠は、真夏の平日で気温が31度を超えた日の14時~15時、のべ10時間程度において電力が不足するから、というものです。電力消費の80%は企業使用であり、現在の営業時間と電力消費が昨年と全く変わらなければ、という前提のものです。そこを説明しないで、全ての電気使用者に15%の節電を求めることは、「そうか、やっぱり原発が必要なんだ」と思わせるためなのでは???
原発の地域の皆さんが再稼働NOなら、そのような生活を受け入れてみましょう。そして、原発の裏で休止している火力・揚水発電などの施設を再び動かして、その間にエネルギー政策の大本からの見直しを図りましょう。不自由な生活や低経済成長が起こっても、安全には変えられません。変革は時に痛みを伴うものですが、みんなで共有することが日本丸の乗組員の責務でしょう。