最終日、請願を採択するかどうかの採決が行われましたが、
この請願は採択できないと、反対しました。
伊丹市では趣旨採択という選択肢がありません。
請願者がこれをやってください、と言っていることを
行政に「やれ」と命ずることが、妥当かどうかが問われました。
請願者の趣旨は賛同しますが、「伊丹市で2050年までにゼロカーボン」は
実現不可能です。
菅内閣が宣言した、
「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする」とは、
日本全体で、という事です。
温室効果ガスの90%以上を占める二酸化炭素は、
私たちが呼吸をするだけで増えます。
二酸化炭素の家庭からの排出は、全体の約4.6%に過ぎず、
それでも、森林の多い地域も含めて家庭からの排出を40%押さえないと
目標が達成できない、と言われています。
住宅都市であり、人口の多い伊丹市では二酸化炭素を吸収してくれる森林もありません。
何もしないでじっと寝ているだけでも、人間は二酸化炭素を排出しています。
2050年までに伊丹市域で二酸化炭素の排出をゼロにする、
そのための計画を策定し、
目標を達成するために実行することは、非現実的です。
公共施設や学校の空調を止め、バスも市民病院も廃止し
(市内の公共施設や事業の中で、病院が一番二酸化炭素の排出量が多いそうです)、
市民は、車は電気自動車か水素自動車に変え、高省エネ住宅に住み替える。
どれほどの制限を市民生活に課すか、想像もつきません。
それでも、排出量は減ってもゼロにはなりません。
だからと言って、何もしないでいいわけではありません。
できれば、伊丹市も「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、
皆さんに脱炭素社会への取り組みの必要性を理解していただき、
できる限り二酸化炭素の発生を抑える生活に切り替えてもらう。
そんな悠長なことを言っている場合ではない、とお叱りを受けそうですが、
絵に描いた餅ではなく、実現可能なものの積み重ねこそが
効果を発揮すると考えます。
結果は、9:17で採択されませんでした。