市内の自転車利用率が、全国でも最も高い市に入る伊丹市では、自転車施策を進めています。阪急伊丹駅に向かう歩道では駐輪ラックと自転車道の整備のために、街路樹が伐採されました。今は、片側だけですが、近いうちに反対側の街路樹も引き抜くことになります。ここは、かつて車道上にコインパーキングがあり、今よりも狭い歩道でした。平成18年度から2カ年にわたって、この駐車スペースを無くして歩道を広げる工事が行われ、その結果、街路樹が歩道の真ん中あたりに取り残される結果となりました。それから7年後の今、自転車道と歩行者の安全な通行のために街路樹を伐採し、通行空間を確保する工事が行われています。
安全な通行空間を確保する、としながらも、駐輪ラックを歩道上に設置するのは、理解に苦しみます。乱雑に止められた自転車が危なくて、きちんと止めた自転車なら危なくないのか?どちらも、通行空間を占拠することに変わりは無いはず。
駅前にも駐輪ラックが設置される工事が行われていて、歩行者は歩道上におかれたコーンの間を、まるで迷路を歩くかのように進まなければなりません。工事のおかげで違法駐輪自転車が全く見当たりません。やがてラックが設置され自転車が整然と駐輪される歩道になります。
駅前に駐輪ラックを置く実験は、昨年の秋、1カ月にわたって行われました。その後のアンケートや自転車等対策審議会で、多くの方から賛成の声や自転車利用者の利便性のためには仕方がない、という意見があったそうです。地震の後に、福祉駅として復活した阪急伊丹駅地下に、多額の費用を投入して駐輪場を作ったのは、失敗だったのでしょうか?違法駐輪地区を条例化したのも時代にそぐわなくなったのでしょうか。ラックがあれば便利なのは、自転車利用者の意見。歩行者や車いす利用者やベビーカーを押した人の声は聞いたのでしょうか?伊丹市の西の玄関口である阪急伊丹に降り立ったら、整然と自転車が並んでいる。本当にそれでいいのでしょうか。
まずは、この問題を市民の皆さんと共有することから始めるべきだったと思います。阪急伊丹駅が新たに完成して以降20年近くも、駐輪対策や啓発活動に力を入れてきたけれども、あまり効果が無かった、と言われるかもしれません。物を作ったり、景観を損なう前に、今一度、市民のみなさんや商店の人たちとよく話し合うという選択肢はなかったでしょうか。ルールやマナーを守る、ちょっと不便でも駐輪場を利用する、利用してもらうように促していただくなど、啓発やソフト事業から取り組めば、きっと理解して協力して下さるのが、伊丹市民の皆さんだと私は思うのですが。