年が改まってから、テレビや新聞で「議会不要論」が繰り返し議論されています。旧態依然とした議会、民意を反映しない議会、行政と馴れ合いの議会、議会本来のチェック機能を果たさない議会。市民の皆さんからは、役に立たない議会なら、高い報酬を払って議員を雇う必要はない、という声が上がっています。確かに議員一人に対して1年間にかかる経費は、報酬・期末手当で1千万円を超えます(伊丹市は月額599,000円)。議員年金の公費負担や事務局経費など、議会費の合計は一般会計の1%程度になります(伊丹市の場合、一般会計は約600億円、議会費は約6億円)から、議会がなければそのお金は他の施策に回すことができます。この議会不要論は、ずっと以前から「議会が何をやっているかわからん!」という声があったものの、決定的になったのは、北海道の夕張市が財政破綻し、その責任の半分が市の財政状況を放置した議会にある、と言われ出した頃からだと思います。
「変えなきゃ!議会 自治体議会改革フォーラム]という活動があり(http://www.gikai-kaikaku.net/)、私もそれに賛同しています。一番変わらないのは議会だといわれている現状を何とか打破しようと、それぞれの自治体で努力をしています。
翻って、伊丹市議会を考えてみた場合、議会の透明性、公開性は低いと言わざるを得ません。本会議・常任委員会・常任委員会協議会は公開ですが、議会運営委員会・代表者会・議員総会は非公開、本会議のネット配信も導入されていません。全国の市議会の約20%でネット中継・ネット配信が行われていますが(近隣では尼崎市のみ)、導入には否定的な議員が多く、議会運営委員会での議題にあげても、「傍聴者自体が少ないのに、誰もネットで議会中継なんて見ないだろう」と、まともな議論にもなりません。ナイター議会、休日議会を提案してもしかり。知らしむべし、寄らしむべし的な姿勢すら感じられます。誰が見るのか、というより、まず公開しよう、という意欲が大切なのに、と思いますが、費用がかかるとの理由で賛同が得られないのが残念です。
議会の公開は議会の活動を市民のみなさんに知っていただくことにあります。議会の中だけでなく、現場に赴いて市政の現状を見る、市民の皆さんの声を聞くことも、議員の活動です。支援してくださる人だけでなく、いろいろな要望や批判に応えることが大事だと考えています。そのために、議会報告書を発行したり、議会報告会を開いたりもしていますが、まだまだ足りないと反省しています。
そして、何よりも、議会が行政に対してチェック機能を果たすということをしなければ、議会不要論はなくならないでしょう。行政が出してきた施策や議案はすべて賛成ではなく、是は是、非は非として、市民の代表である議会としての意見を述べ、常に適度の緊張感を持ち続けることが必要だと思います。
全国的に財政難の時期を迎え、今後一層議会不要論は高まりを見せるかも知れません。首長が直接市民の意見を聞けばいい、という動きもありますが、伊丹市20万人の市民の声が聞き入れられるはずもありません。首長に都合のいい意見の採用だけでは、本当の民意の反映にはなりません。それぞれの議員が、広く市民の声を代弁することが、選挙で選ばれた議員の役目だと思います。議会の公開性・透明性を高め、行政を監視する議員・議会を目指してこそ、議会不要論からの脱却が図れると考えています。