それって何?と聞かれます。伊丹市立の保育所を民営にすること、と答えますと、今だって民間保育所があるのだから、ええんとちがう、と言われます。そう、民間保育所があるのは事実、民間保育所も公立保育所と同じように頑張っているのは事実。もし、保育所が最初からすべて民間だった、という市があったとしても、それもOKだと思います。問題は、今公立保育所に通っている子どもたちが、先生や園長が100%変わることで、大人には計り知れない影響を受けるだろう、ということです。保育所に通う子どもたちは、長い子で1日の半分近くを保育所で過ごします。いってみれば、保育所はおうちであり、保育士さんはお母さんなわけです。それが、ある日突然誰だか知らない人が家に来て、今日から私がお母さんだから言うことをききなさい、と言う、それが子どもにとって影響が全くないといえるのでしょうか?
民営化の動きは、財政難から来ています。民間の保育士に比べて公立の保育士は人件費が高い、だから公立保育所を民間の福祉団体やNPO法人や会社法人にあげちゃって、民間で運営してもらおう、というものです。でも、ちょっと待って。公立保育所の子どもたちや保護者たちは、保育士のお給料を高くしてください、と要求したきたでしょうか?いいえ、そんなことはありません。お給料は法律で決めたものです。なのに、財政難になるとお給料の方をなんともしないで、子どもたちに我慢しろ、というのです。こんな理不尽なことがあるでしょうか?いたいけない子どもたちだけが、どうして犠牲にならないといけないのでしょうか?
自治体の財政難は夕張市を例にとってみても、いつ自分の市におこってもおかしくないのが、全国の地方自治体の状況です。その前兆は今だってあります。夕張のようにいきなり、今年から給料が40%カット、小学校は1校しか残さない、老人福祉は切り捨て、とするよりも、そうならないように少しずつムダを省いていかなければなりません。しかし、そのターゲットは福祉に向けられています。なぜほかにもいろいろなムダがあるのに、はっきりと子どもに悪影響が予想される公立保育所の民営化なのかが理解できません。