改正労働法が10月1日に施行されました。
派遣法の改正でいつも議論になっていたのは、「そういう自由な働き方を望んでいる人が多くいる」「派遣で働く人の職場を選ぶ権利を保障する」「改正で派遣労働者の待遇が改善される」「派遣から正規雇用に切り替える企業が多く出てくる」などなど。派遣で働いていたことのある私としては、働く人の現実を全く見ていない議論だと、腹立たしく思っていました。
かつて、派遣で禁止されていたのが、日雇い雇用と長期雇用でした。26業種を除いては、ダメ、というもの。その26業種ってなんだかご存知ですか?
1)ソフトウェア開発 2)機械設計 3)放送機器等操作 4)放送番組等出演 5)事務機器操作 6)通訳・翻訳・速記 7)秘書 8)ファイリング 9)調査 10)財務処理 11)取引文書作成 12)デモンストレーション 13)添乗 14)建築物清掃 15)建築設備運転・点検・清掃 16)案内・受付・駐車場管理等 17)研究開発 18)事業の実施体制の企画・立案 19)書籍等の製作・編集 20)広告デザイン 21)インテリアコーディネーター 22)アナウンサー 23)OAインストラクション 24)テレマーケティングの営業 25)セールスエンジニアリングの営業 26)放送番組における大道具・小道具
もっと専門性と高いスキルが求められる仕事かと思いきや、意外に何でも適用できそうな業種ばっかりですね。事務仕事だったら、ファイリングとかOA機器操作に入るのかな? 今回の改正法で、赤字のものは例外から外されました。黒字の業種は引き続き例外扱いで、日雇い派遣ができる業種です。
問題なのは、上の業種については人を変えなくても何年でも派遣で働くことができたのですが、上限が3年となってしまったことです。受け入れ企業と働く人の事情で、直接雇用ではなく派遣社員として働いていた人たちがたくさんいます。その人たちが働ける最長期間が3年になってしいました。派遣会社に無期雇用される人は派遣先企業で無期限に働くことができる、とはしていますが、派遣会社が派遣社員を無期限雇用するなんてそうそうありえませんから、絵に描いた餅です。
私が派遣で働いていた頃は、派遣賃金が凄く高かった、貿易事務で@2000円位だったと思います。今では、アルバイトとそう変わらない。派遣で働くということが、専門性やスキルがあるという強みを生かした職場選びという「働く人本人」の都合から、正規雇用や直接雇用のリスクを取りたくない、労働力の調整弁にするという企業側の都合に変わってしまいました。派遣で働く人も、仕事が無いから派遣会社に登録して、仕事が来るのを待つ、という環境に変わっているような気がします。
本当は誰だって直接雇用・正規雇用を望んでいるはずです。そんな安定した働き方ができてはじめて、安定した生活や経済活動が生まれるんだと思います。なんだか、言い足らない感がありますが。
思い出したので、も一つ。派遣で労働者を雇い入れると、採用試験や研修の手間が省けます。派遣された労働者に問題があれば、「不良品」だから交換してほしい、と言えばいいのです。派遣社員は派遣会社の商品です。