伊丹市が、市内17小学校の通学路に各50台ずつ、駅前や繁華街、見通しの悪いところや公園などに計150台、合わせて1000台の防犯カメラを3年計画で設置する補正予算案が、3月議会に提出されました。このニュースはテレビや新聞でも取り上げられています。自治体が1000台もの監視カメラを設置するのは前代未聞で、日本一防犯カメラ密度の高い市になるそうです。
今回の補正額は6400万円で、200台を設置するお金です。6400万円のうち、国の補助が2,200万円弱、伊丹市が残りを負担します。防犯カメラの設置場所は伊丹署に原案を作ってもらい、住民の意見を聞いて設置するということです。
細かなことが分かりませんので、ある議員さんに問い合わせたところ、
カメラは2週間の映像を録画でき、日々上書きされること
モニターを設置して誰かが見るというものではないこと
5年で更新が必要なこと、 などが分かりました。
伊丹市は25平方キロメートルという狭い市です。今でも、コンビニや銀行、交差点、駅など色々な場所に、私たちが知らない間に監視カメラや防犯カメラが設置されています。更に1000台が設置されるとなると、どんなところにいても監視されてる「怖さ」を感じてしまうのは私だけでしょうか?
防犯カメラを設置すると、①犯罪の抑止力となる、②犯人の検挙率が上がる、③災害現場の様子がすぐわかる、というメリットがあります。②については、最近不祥事が相次いで、その上検挙率も低い、と言われている警察にすれば、カメラをつけてくれるなら費用は全額負担してもいいと思っているかもしれません。③は、今回のようにモニター上での監視が無ければ、メリットは受けられません。(河川の増水については河川カメラもあります。)
世間のみなさんはどのように考えていらっしゃるのかな、と思い、急きょシール投票をしてご意見を伺おうと、日曜日の午後駅へ繰り出しました。新聞の内容を伝え、バスを待っていらっしゃる方にシールを貼ってもらいました。カメラの話はほぼ全員がご存じでした。
1時間ちょっとの調査でしたが、皆さん暖かくご協力くださいました。賛成:反対は2:1といったところでしょうか。どちらとも判断できない、とおっしゃる方は6人いらっしゃいました(違う色のシールを持ってなかったので、貼っていません)。
男子中学生が2名、積極的にお話をしてくれました。抑止力は大切、見張られて悪いような行動をとらなければいい、モニター監視もできたほうがいい、というご意見でした。子どもさん連れの方は、ほとんどが賛成、こんな時代には取りうる方法は何でも採用すべき、というご意見。安全な伊丹市になってほしい、いいんじゃない、子どもの安全のためなら、といいうご意見が大勢。
反対のご意見は、今はカメラだけだけどもモニターが導入され、人が配置されたらまさに監視社会、マイナンバー制と組み合わせて、すべての個人情報が国に管理されてしまう。なんだか気持が悪い。プライバシーの侵害、カメラに頼らない地域での防犯こそ必要。費用がかかり過ぎる、他にすることがあるのでは、というご意見でした。
私としては、市民意識の盛り上がりがあるのか、というところがひっかかります。プライバシーの侵害は覚悟で監視カメラを1000台つけて防犯力を高めよう、という声や動きがあるとは感じられません。映像の提供の条件や保存方法なども含めて、市役所でも十分が検討がなされ、市民が入った審議会でも議論する必要があるのではないかと思います。
また、これが当初予算ではなく、補正予算であることも気がかりです。防犯カメラ1000台というのは、金額にしても内容にしても大きな施策。本来なら当初予算で提案されるべき内容ではありませんか?本当に必要な事業なら、国や県の補助が無くても伊丹市のお金で実施してほしいと思います。また、予算についても、いったん付けてしまえば、壊れたから廃止、というわけにもいかないでしょう。更新時にはいくら必要となるのか、故障や不具合は誰がチェックするのか、補修点検には費用がかからないのか、今後国や県の補助はあるのか、などもはっきりとさせて欲しいです。
お金出してくれるから、乗っかっておこう、では困ります。国や県が補助や協力をするというのは、国や県がやりたいことだから。市は国や県の下請けではありません。