私が人材派遣会社で働いていたころ、新たなマーケットは地方自治体でした。
市役所の窓口(シティ・コンシェルジュという呼び方をするところもあります)や年金の窓口、はたまたトライアルの新規事業に多く進出していました。
入札で人材派遣会社にその事業を委託するのです。受けた会社は、募集、採用、研修、派遣ローテーション、賃金支払い、社会保険関係すべて行います。
派遣会社にしてみれば、多分受託料は対して魅力のある金額ではなかったと思いますが、公的仕事を受託しているという信用に繋がります。
一方、公共団体からしてみれば面倒な採用手続きは要らないうえに、派遣された人材が不満ならいつでも交換してもらえる。何か問題が起こった時には、委託先に責任を問えばいいわけです。また、委託にするとその人件費は「人件費」としては扱われないで、物件費になりますので、実質的には「人件費の削減」という大きな効果も得られます。
民間でできることは民間に任せる、民間活力の利用やパブリックビジネスのチャンスを民間企業に与えることが、これまでのお役所仕事からよりよいサービスに繋がると期待されているふしもあります。
いままで高い賃金を支払って正規の公務員が行っていた仕事が、短期の派遣社員に簡単できるものなら、公務員ってなんだったんだろう、って思ってしまいます。
今の政府が進めている多様な働き方の1つとして、自分の好きな時に好きな職場で働ける派遣労働が認識されつつありますが、派遣労働も不安定雇用です。
その不安定雇用を地方自治体が積極的に取り入れていることに、疑問を感じています。官制ワーキングプア、という言葉が言われて久しいですが、新たな形でのワーキングプアが増えつつあります。そして、その派遣社員のほとんどは女性です。