今日は、西宮の男女共同参画センター「ウェーブ」で、映画「SiCKO」(シッコ、マイケル・ムーア監督、アメリカ映画)を見て、その後討論会をする、という学習会を開催しました。SiCKOは、アメリカの医療現場を赤裸々に伝える映画、ということで、見たい、と思いながら見逃していました。
アメリカは人口の約20%にあたる国民が無保険、政府による皆保険制度がないので、民間保険会社の保険に入るのですが、入るのもハードルが高ければ、保険料支払いもハードルが高い、治せる病気も助かる命もすべて金次第、という世の中になっている、という告発でした。自分が入っている保険会社と提携していない病院にかかった場合は保険金が出ない、急病・事故でも事前に保険会社に救急車を使ってもいいかと了解を得なければ、たとえ救急搬送されても治療は受けられない、大きな病気や入院などは、保険金では治療費はまかなえなくなり、財産を失ってしまうケースも珍しくない、お金が払えなければ、病院からタクシーでスラム街に捨てにいかれる、など信じがたい現状だそうです。
アメリカの医療の対極として紹介されているのが、ヨーロッパ、イギリス、フランス、北欧などです。16歳以下と60歳以上の医療費は無料、出産は無料、薬も安価。そのせいで、国民の医療費全体が下がり、健康寿命も延びているということでした。このヨーロッパ型社会民主主義に基づいた社会保障制度は、日本の、少子高齢化で今後ますます老人医療費が伸びるから、広く浅く保険料を負担してもらう、というやり方とは正反対ではありませんか。
日本はアメリカ型の医療保険制度を目指しているようですが、失敗の例がアメリカにあるのに、なぜ?と言いたくなります。医療費がどんどん増大していく、若者の負担が増える、医療保険も払っていないのに治療費を踏み倒す人が増えている、などとテレビや新聞で繰り返し報道され、アメリカ型にしなければ、この国は医療費でつぶれてしまうように思わされていないでしょうか?企業が大事か国民が大事か、経済発展が大事か国民の命が大事か、福祉が大事か国防が大事か、その選択を誤らなければ、ヨーロッパと同じくらい豊かな日本ができないはずはありません。私たちは、政府の言うことにだまされずに、医療を無料に、教育を無料にと、声高に訴えなければ何も変わりません。
フランスはどうしてこんなに福祉が充実しているか、との監督のインタビューにフランス人がこう答えていたのが印象的でした。「政府は国民が怖いから、国民の言うことを聞きます。政府に言うことを聞かせたければ、行動しかありません。」
参加された人たちからも活発に意見が出て、いい学習会ができたと、主催者一同(3月行動を呼びかけるおんなたち・ひょうご)喜んでいます。次回のビデオ学習会も楽しみです。