尼崎市役所の市民課の窓口業務が、現在契約している業者よりもさらに安い金額で契約できるように、と入札を決定した白井市長。現在契約中(3月31日で契約切れ)の女性5人が「契約の更新、入札のとりやめ、臨時職員として直接契約」を求めて2週間あまりのストを決行しました。私も、不安定雇用の労働者を守る「武庫川ユニオン」の会員として激励に行ってきました。
残念ながら、市長はストの期間中に入札を行い、最安値を提示した業者が落札しましたので、彼女たちは3月31日で職を失うことになります。最終日は職場で責任を果たしたい、と28日にはストを解除し、市民課の窓口に戻っていった彼女たち。もう決定しているのだから、別の仕事を探すこともしなければならないし、ストを行っている間は賃金も入らない、24時間ストだから家にも帰れない、とてもしんどい闘いだったと思います。でも彼女たちは、勇気を出してストライキを決行し、民営化で生み出される、公務職場の不安定雇用の問題を広く世間に知らせることにしたのです。
公務員の賃金が民間よりも高い!と公務員バッシングが止まりません。人件費カットのために、新規採用を制限し、民間にできる仕事は民間に、と民営化をすすめ、人手不足は臨時職員で補ってきました。その結果、職場内で正規採用の職員と臨時職員の格差が問題になってきました。臨時だから簡単な仕事だけか、といえば、アルバイト職員の方がはるかに仕事ができるという場合もあります。そんな場合でも賃金が上がるわけも無く、フルタイムの臨時職員でも、年収200万円に満たないというワーキングプアばかりになっています。経験のある臨時職員の雇用を続けるために、11ヶ月働いて、1ヶ月休み、また採用される、ということも行なわれていますが、それに異論を唱える人もほとんどありません。国を挙げて労働格差を是正しようとしているのに、市役所からワーキングプアを生み出すことに、私は反対です。
市の支出にしめる人件費の大きさは、団塊の世代の大量退職でひとまず峠を超えます。それまではとりあえず仕方がないこととして、この先の行政サービスのあり方や職員配置や職員の待遇などを改めて検討して、市民に対しても、公務職場で働く労働者にたいしても理解の得られるやり方を、今から探るべきだと考えます。