11月16日に、教育基本法の改正案(ほんとうは改悪案)が衆議院を通過し、参議院の特別委員会で審議されていることは、みなさんもご存知だと思います。新聞によると、政府は12月15日までの成立を目指しているそうです。
衆議院を通過したあたりから、『基本法を変える理由が無い』とか『基本法の改悪で教育現場はいっそう大変になる』などの報道が見られるようになりました。まさか、成立はしないだろう、と甘く見ていたのかもしれません。成立阻止に向けて、イエローカード(警告)運動が展開される予定です。詳しくはhttp://www.stop-ner.jp/061127seimei.htmを見てください。
基本法の改悪の目玉は、なんといっても愛国心教育ですが、タウンミーティングなどでよく言われていたのが、家庭教育の推進です。荒れ放題の家庭を何とかして、いい子どもが育つようにする、という考えに、賛成の声も聞かれました(やらせテレビかもしれませんが)。先日参加した、保坂展人さんの国会報告会では、愛国心条項(改悪案2条5項)は、基本法のすべての条項に及び、家庭教育にも愛国心教育を強要すると解釈されるのだそうです。この改悪法が成立すると、地域の人や市役所の人が、日の丸の旗を揚げていない家庭に、「そんなんでは子どもの愛国心が育たない」と忠告したり、3歳児検診までに『君が代』を歌えるようにすることが、標準的家庭教育だとされたりするのだとか(オーバーに書いているようにみえるかもしれませんが、10年20年たったら、もっと酷い状況になっているかもしれません)。
そんな教育基本法改悪を先取りしたかのような、「家庭教育推進課」というのが伊丹市にはあります。4年前、家庭教育推進チームからスタートして、班→担当→課へと格上げされていきました。この課の仕事は「だんらんホリデー」とのぼりを駅前に立て、「家族団らんしましょう」とティシューを配ったり、「日曜日は家族で買い物をしましょう」と商店街と連携して、子ども連れの買い物客に値引きをするチラシを配ったりしています。小学校と中学校に上がる前の「就学前説明会」を利用して、家庭教育の大切さを訴える人形劇や腹話術を見せ、子どもの教育の第1番の責任は家庭です、おとうさん、お母さんそろった家庭が大事です、と集まった保護者や子どもに語りかけています。
私は、毎年ここの課の事業をチェックし、議会で「行政が家庭にまで踏み込むのはおかしい、本当に助けが必要としているところへ行けばいい、様々な家庭があるのだから、ステレオタイプの家庭が優れているような表現はおかしい」と訴えてきました。確かに家庭も変わりました。昔のような、家父長制度的な家庭はほとんどなくたったといってもいいと思います。それは時代と共に変わるものですから、仕方のないことです。問題は、家庭教育(しつけや習慣)ができていない家庭があれば、困っている家庭だということに気がついていない、ということです。家庭の責任だ、ちゃんとやれ!と話を聞かされたり、プリントをもらってもできないものはできないのです。そこのちゃんと支援の手が届けば、その家庭は自分の力で家庭教育ができるようになります。
家庭教育推進課の予算は、この3年間で据え置きになっていますが、改悪基本法の影響をうけて、増額されないように注意して、予算書をチェックするつもりです。