9月議会に、「伊丹空港共生都市宣言」を求める請願書が提出されています。
かつて伊丹市は航空機騒音に悩まされ、議会の全会一致で「空港撤廃宣言」を採択しました。そして、伊丹空港に代わる空港として、1994年に関西国際空港が、泉州沖に開港しました。伊丹空港は国内線専用の空港となりましたが、その間の努力により、騒音対策は進み、その後、阪神の経済活動には、伊丹空港(大阪国際空港)は不可欠だと言うので、国との間で「存続協定」が結ばれました。今年7月には、航空機騒音の民間住宅地への被害を弱める緩衝緑地帯が一部完成し、「伊丹スカイパーク」という、空港が一望できる公園としてオープンしました。
確かに、伊丹市は「空港と共生する」と、市の総合計画で謳っていますし、市民のみなさんも、便利な空港を生かしたまちづくりを望んでいます。でも、まだまだ、騒音の被害が残る地域(特に逆着陸をするときの伊丹市の北部、川西市の久代地区周辺)もありますし、豊中市の市街地の上を飛んで着陸する航路は、危険がいっぱいとも言われています。
撤廃宣言があったからこそ、ここまで安全性が高められた、と言うことができます。そして、空港を撤廃するにはデメリットが多すぎるということで、存続協定が結ばれ、国際線は回復しないにしても、年間1500万人が利用する空港として、その地位は不動のものと思われます。実情は空港と共生共存していると言えるでしょう。
今、「空港と共生しよう宣言」を求める請願を市議会で採択することは、どういうことでしょうか?商工会議所や商店連合会、自治会や伊丹市連合婦人会が一同にそれを求めているとすれば、議会は市民の要望に応えなければならないでしょう。また、長年の市民運動の結果として出てきたものであれば、なおさらですが、今回はちょっと違います。一方で、全会一致の議決は重く、二十数年前の決定をいとも簡単に翻すような態度は、議会の理性を問われると言う声もあります。
現状は共生しているから共生宣言が必要なのか、すでに共生しているから宣言は必要ないのか、撤廃宣言があるから共生宣言ができないのか、共生宣言をするには撤廃宣言をまず撤廃しなければならないのか、しっかりと考える時間が欲しいです。