(サンシティホールのHPから借用。真ん中上がパイプオルガン、
今日写真を撮りに行ったのですが、マスクを着用してなかったので、入れてもらえず、断念。)
土曜日の朝日新聞の夕刊、見覚えのある写真が掲載されていました。
さすが朝日さん、伊丹市のこと取り上げてくれているんだ!と思いましたが、
記事は全く別の内容。
「パイプオルガン譲ります」
「伊丹市7千万円で設置 維持費高額」
「税金で買い 使い捨て?」批判も
「音楽関係者からは憤りの声も上がる・・・・」
伊丹市の高齢者福祉施設・サンシティホールは、平成2年にオープンしました。
とんがり帽子の洒落たデザインに、ステンドグラス、パイプオルガン、
とても高齢者施設とは思えないほど素敵な建物でした。
当時、すぐ横のマンションに住んでいたので、
よく子連れで遊びに行かせてもらってましたが、
パイプオルガンの演奏を聞いたことがあるのは、1回か2回程度かな。
実際に、無料・有料を合わせたコンサートの入場者は年間2000人程度、
有料コンサートの収入は10万円にも満たないとか。
記事では、7000万円の税金をかけて購入し、
ろくに手入れ(メンテ)もせず、大規模修繕もしていない。
制作者が2018年に来日し、抜本的清掃と大規模修繕が必要と提言した。
同紙はパイプオルガンと一緒に演奏した音楽家にインタビューし、
「ずさんな管理を隠すために譲渡を急いでいるのではないか、
置き場所に困った家具を二束三文で売るようなことは止めて欲しい」
とのコメントを掲載している。
「税金で買い 使い捨て?」批判も、というヘッドラインは誰の言葉だろうか。
いったい何人の音楽家にインタビューしたのだろうか?
購入した平成2年(設置は平成5年)はバブルがはじける直前、
市には競艇からの多額の繰り入れもあり、お金が潤沢にあった。
その証拠に、アイホール、アイフォニックホールなどを次々に建設している。
確かに定期的なメンテナンスが行われていなかったことは確かなようで、
決算委員会では、平成26年~28年までは、約100万円をメンテ費として計上した、
29、30年はやっていない、と答弁している。
大規模修繕が必要な、設置から20年経った平成22年頃はリーマンショックの真っ最中。
市には財政調整基金も底をつくほどにお金が無かった、というのが事実。
来年度の大規模改修に合わせて
パイプオルガンの大規模修繕を計画していたが、
見積は、2000万円オーバー、さらに毎年100万円以上のメンテ費が必要。
市は、やむにやまれずに譲渡先を公募したのだけれど、
問い合わせはあったものの、応募は無く、随時募集に切り替えている。
ただ、搬出・改修に係る費用は譲渡先が負担するので、
おいそいれと「譲ってください」とは言えませんよね。
この問題は、パイプオルガンが高齢者福祉施設にあるということ。
メンテ費も大規模修繕費もすべて高齢者福祉費から出さなければなりません。
パイプオルガンを管理維持していくことが、高齢者福祉なのか。
サンシティホールを利用している人達に聞けば、
そのお金を本来の高齢者福祉に使って欲しい、と言うでしょう。
ならば、アイフォニックホールに移転して、文化振興費で見ればいい?
伊丹市には、バブルの頃に建った、アイホール・アイフォニックホールや
遅れて建設された「東リいたみホール」があり、
文化には今でも多額の税金を使っています(足りない!という声も聞こえますが)。
さらにパイプオルガンを移転して、大規模改修、定期メンテに税金を出せるか?
コロナで来年の税収がどれくらい減るか分からない中で、厳しい話です。
できるなら、パイプオルガンや音楽や芸術を愛してやまない人たちが、
クラウドファンディングで大規模改修費を募り、蘇らせる。
その後は定期的な寄付で毎年のメンテ費をまかなうことことくらいしか、
思いつきません。
何とかならないものでしょうか。
税収が多く、市や国に潤沢にお金があるときに、
文化や教育に税金を使うことはよくあることです。
ただ、その事業が一過性のものであればいいのですが、
建物やこのパイプオルガンのように、形あるもので、
いつまでも残る、が、ゆえにいつまでも税金をかけ続けなければならない、
ということはよくあることです。
このパイプオルガンも伊丹市にお金が有り余るほどあれば、
記事に取り上げられたりすることはなかったのでしょう。
税収は自然災害や経済状況によって変わりますので、予測がつきません。
そうなると、いくらお金が潤沢にあっても、いつ無くなるか分からない。
始めるときは喜ばれるけれど、止めるときは批判の嵐になる。
それなら、芸術への支援は止めておこう、ということになってしまいます。
確か、新庁舎建設の場所にあった、石の彫刻「白鳥の泉」も
同じように批判を浴びていました。
パイプオルガンもできた当初は喜ばれたと思います。
今、多くの市民の皆さんのご意見はどうなのでしょう。