安倍政権の支持率が急落していることが、盛んに報道されています。
中には、皆が支持しないというから、何となく私も、
という感情的な不支持が増えたのではないか、というコメントもあります。
私は、森友、加計問題に加えて、テロ等準備罪法の強行採決もその理由の1つだと思います。
6月市議会で、この法律がまだ案の段階で提出された請願、
「組織的犯罪処罰法改正法案の反対意見書提出の請願」について
賛成の立場で討論を行いました。
採決の結果は、
13対14で否決されました。
長くなりますが、その時の討論をアップします。
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組織的犯罪処罰法改正案反対意見提出についての請願に対して、
会派を代表してではなく一議員として、支持する立場で意見を述べます。
6月15日の未明、参議院は、この法案についてその審議を付託した法務委員会を開催せず、
そこでの採決を省略して、中間報告を用いてこの法律を成立させました。
数の力だけで進めようとする政府与党の態度は、民主主義を踏みにじる暴挙と言わざるを得ません。
この改正法に反対する私の見解を述べたいと思います。
1つには、この法律がなければ東京オリンピックが開けないという説明です。
この法律があれば、テロリストによる犯罪が防げるという説明をしています。
国がテロを未然に防ぐために批准することが必要だとする「通称パレルモ条約」を締結している国々では
テロが未然に防がれているでしょうか。犯罪が起こる前にテロリストとはわからなかったという場合もたくさんあります。
この法律があれば日本におけるテロが防げる、安全にオリンピックが開けるためにどうしても必要なのだ、
というのは国民を欺いていることに他ならないと考えます。
パレルモ条約が目的とするものは、マフィアなどの組織的犯罪の防止であったはずです。
2つには、この法律は刑事司法の大転換をもたらすということです。
これまで、日本の刑事法の原則は、発生主義でした。
刑法には罪の種類を挙げ、それに対する刑罰を示したものです。
この刑法に基づいて、事件発生、捜査、検挙、裁判、刑罰と行われるのが、刑事司法です。
しかし、今回の改正法は事件が発生していなくても罰をうけるという、
これまでの刑法の原則を根本的に変えてしまうことになります。
起きてもいない事件にあたえる刑罰の妥当性が理解できません。
3つには、対象が一般人ではない、テロリスト集団や暴力団が対象、だとしている点です。
日本においては、暴力団はわかりやすい集団ですが、テロリストは明らかにそうだとはわかりません。
オウム真理教事件のように、宗教団体がテロリストに転身したというケースもあります。
この理論からすれば、宗教団体はおよそテロリストになる可能性が高い、
とその存在や活動に対して監視の目が光らされることも考えられます。
犯罪集団かどうかの判断は、公安や警察に委ねられることになり、
関係のない人が犯罪集団に関係しているとみなされる可能性があると考えられます。
ここで私の経験をお話しさせていただきます。
3年前の2015年4月、伊丹市議会議員選挙の最中にこの出来事が起きました。
午後8時を回ってから阪急伊丹駅で立候補のご挨拶をしておりました。
公職選挙法で制限されている午後8時は、スピーカーを使った選挙活動であって、
駅頭で立つ、有権者と話をすることは、禁じていません。
私が立っているところへ制服姿の警察官が2名あらわれ、私に何をしているのか、
身分証明書は?などと職務質問をしてきました。
タスキをかけて立っているわけですから、候補者であることは明らかですし、
身分については選挙公報を見てもらえばわかることですのに、聞いてきます。
最初は、公職選挙法を知らない警察官かな、とも思いました。
しかし、よく考えてみると、わざと職務質問をしたのではないか、という気になってきました。
私が警察官に職務質問をされているのを見た人たちは、
何か悪いことをしているか、違反でもしているのだろう、と判断します。
それこそが狙いだったのかな、と思いました。
そのシーンを写真に撮られ、ネットにアップされていたら、私の候補者生命は絶たれていたかもしれません。
こういうことが、今回の改正法で可能になります。
本当に犯罪集団かどうかわからなくても、
目障りな人たちや団体を調査の目的で事情聴取をしたり拘束したりすることができます。
つまり、この法律の対象は、すべての人だということ、
犯罪計画や犯罪集団は警察や公安によって恣意的に作り出される可能性があるということです。
4つには、監視社会が広がるということです。
計画段階から犯罪集団を取り締まるには、事前捜査が必要です。
捜査機関による監視や尾行といった捜査が、早い段階から始まります。
また、捜査に至るまでには、情報の収集が必要となります。警察や公安による情報収集に加え、
一般市民からの通報も考えられます。悪気はなくても、
国民が相互に監視しあう社会にならないか、不安を覚えます。
また、悪気がある人は、自分の気に入らない人をリークしても、犯罪計画捜査への協力という名目がたちます。
伊丹市には1000台の安心安全カメラが設置されています。
このカメラの画像提供については、刑事訴訟法に基づいて、
平成28年度には898台分の画像提供がありました。
この法律が運用されると「組織的犯罪処罰法」に基づいて画像提供の要請が行われます。
その件数はどれくらいなるのか、想像がつきませんが、安全安心カメラが本当に監視カメラとなってしまいます。
以上の点から、私は組織的犯罪処罰改正法に反対いたします。
議員の皆さんのご賛同をお願いして、意見といたします。