3月議会に提出された、「性的少数者の人権を守る請願」については、人権活動をされている方
のご意見や近隣市の様子、日本全体での対応などを参考にしながら良く検討いたしました。
請願趣旨には賛成とするものの、採択には態度留保としました。
ご参考までに、討論をアップします。
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性的少数者の人権を守るための請願について、態度留保とし、意見を述べます。
まず、性的マイノリティーの子どもたちの居場所づくりに取り組まれ、性的マイノリティーの人権にかかわる活動をされている「にじいろi-Ru(アイル)」さんの活動に、敬意を表します。
性的マイノリティーの人権課題については、最近同性のパートナーを異性パートナーと同様に認めて欲しいという声が高まり、世田谷区、渋谷区で、同性カップルを結婚に相当する関係と認める書類を発行する制度が成立し、性的マイノリティーに対する社会的な認識が高まってきました。伊丹市議会でも、今年度の人権研修でLGBTについて学習しました。
電通ダイバシティー・ラボが行った「LGBT調査2015」によるとLGBTを自認する人の割合は7.6%になるとしていますが、自認していない人、また当事者の周辺の人たちを加えると、LGBTに関して悩んでいる方々は、その何倍にも上ると考えられます。
それらの方々が、相談の場もなく苦しんでこられたことは、大変に悲しいことです。請願項目の1にあるように、相談窓口を設置することは、大切な取り組みの1つであると考えます。現在伊丹市には、様々な場所で人権相談が行われています。相談窓口の担当者が、性的マイノリティの人権問題にも広く認識を持つことも併せて取り組んでいくべきだと考えます。
しかし、請願項目の2については、性的マイノリティーの人権課題は当事者それぞれによって違いもあり、解決方法も市で取り組めるもの、国の法整備を待つもの、教育において実施するもの、市民啓発で行うもの、など多岐にわたることが考えられます。具体的な内容が示されていない請願を採択し、市にすべてを委ねるということは、無責任であると考えます。よって、請願項目2については、賛成しかねます。
性的マイノリティーへの理解が様々な現在では、カミングアウトできない人もいらっしゃいます。当事者はカミングアウトしなければならない、といったプレッシャーを感じていらっしゃる方もおいでのはずです。カミングアウトしない自由と権利も保障されなければなりません。私を含め、当事者の声に耳を傾け、何が課題であるのか、社会生活において何が障害であるのかをまず知ることが大切です。性的マイノリティーに対する社会の理解と認識が深まり、LGBTの方々が少数者でなくなる社会、カミングアウトしなくても、自然体で生活できる、誰もが生きやすい社会の実現を目指すべきものと考えます。
請願者の願意は妥当であり、その趣旨には賛同いたしますが、伊丹市議会では趣旨採択という選択肢が有りませんので、態度留保といたします。
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請願、陳情、意見書に賛成するときには、その内容に責任を持たなければならないと考えます。