昨日、総務政策常任委員会で、上記の請願が提出されました。私は、憲法学者が憲法違反とし、元内閣法制局長官までもが法案の撤回を求めている、安全保障関連の法整備を今国会で行うことには反対です。この度の請願は、反対という言葉を使わず、国民の合意を得られるような慎重審議を求める請願ですが、根底にあるものは同じとして、賛成しました。委員会の結果は、賛成VS反対 4:4 の結果となりました。委員長裁決で、委員長が反対。請願は採択なりませんでした。誰が賛成だったか反対だったかは、議会だよりに明記されますので、個人名をここで上げることは控えさせていただきます。
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少し長いですが、討論全文を記します。
請願第2号、国に「国民的合意のないままに安全保障体制の見直しを行わないことを求める意見書」の提出を求める請願に、賛成の立場で討論を行います。
昨年7月、集団的自衛権行使容認が閣議決定され、安保法制が現在国会で審議されています。国民の80%が「政府の説明が不十分」だと思っている法整備をなぜ今緊急に行わなければならないか、皆さんはおわかりになりますか。もしあるとすれば、それは安倍首相が訪米の折にアメリカにこの夏までに約束したことを実行するためではないでしょうか?近年中国・韓国・北朝鮮が日本の国土と安全を脅かしている報道が多くみられます。そのためにも、アメリカと共に行動すべし、そのために法改正が必要だ、という意見もあります。現行の日米安保条約第5条には「日本の領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和および安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定および手続きに従って共通の危機に対処する」とあります。つまり現状のままでも、日米が協力して、日本領域で日本の危機に対応できるのです。日本の領土外でアメリカと行動を共にするということは、アメリカの戦争に巻き込まれることではなく、アメリカの戦争に参加するということにほかなりません。これが戦争を可能にする法整備以外の何物にあたるというのでしょうか?
日本は、70年前の戦争の反省から、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を制定しました。そのおかげで、日本は外国の軍隊に侵略されることもなく、そのことで国民の命がうしなわれることはありませんでした。同時に、海外へ侵略し、海外の人たちの命を奪うこともありませんでした。なんと素晴らしいことでしょう。このことを、私たちの子や孫やもっと未来の子どもたちに残していかなければなりません。それが、戦争を知らない平和な時代に生まれ育ったものの使命だと考えます。
安保法制が整備されたあかつきに、「米軍を始めとする外国の軍隊を後方支援」したり、海外でアメリカの戦闘行為に参加したりするのは、安倍首相でもなければ国会で審議している国会議員でもありません。ほかならぬ自衛隊員の方々です。安倍首相は答弁の中で、「まるで自衛隊の方々が殉職していないという認識をもっている方がいらっしゃるかもしれないが、自衛隊発足以来、今でも1800人の方が殉職されている」と述べていますが、これは、自衛隊員たるもの、殉職は覚悟の上、まして戦闘においては何をかをいわんや、と言っているようなものです。いかに自衛隊員の命を軽んじているかが分かります。
伊丹市には陸上自衛隊千僧駐屯地と陸上自衛隊中部方面隊総監部があり、そこに勤務していらっしゃる自衛隊員の方の数は、合わせて6000名以上だと伺っております。その中には多くの若い伊丹市民の方もいらっしゃるでしょうし、そのご家族の方もたくさんいらっしゃることでしょう。安保法制が閣議決定された時にある新聞記者さんから、自衛隊員やご家族の方から話を聞きたいので紹介して欲しいと言われました。知り合いの隊員さんに伺うと、自分は組織の人間だから行けと言われれば行くしかない、それが任務だから。安保法制については自分は、何も言えない、とおっしゃいました。ある方は、自分は事務担当だから前線に行くことはないだろうが、行かされるかもしれない人の気持ちを考えると、軽々しく反対だ賛成だと言えない。誰かがインタビューに答えたとしても、誰の家族か分かってしまうかもしれないから、だれも話してくれないと思う、と答えてくれました。当事者である自衛隊の方々は、この法案に対しては、何も言えない状況に置かれているのです。平和憲法の下の日本で、それでも日本に何かあれば家族や愛する人の住む日本を守りたい、災害救助でお役に立ちたい、と自衛隊で頑張っておられる皆さんは、よもやアメリカのために命を落とすことを想定して自衛隊に入ったわけではないでしょう。自分の気持ちを声に出せない自衛隊の皆さんのためにも、自衛隊の皆さんの尊い命を軽々しく失わさせないためにも、国民の理解が得られるまで十分に審議を尽くして欲しい、国民的合意のないままに安保体制の見直しを行わないで欲しい、と国に対して意見書を出すことは、自衛隊のまちである伊丹市議会としては当然のことであると考えます。