先日バスを待っていたときのことです。車椅子の男性が同じバス停にいらっしゃいました。友人から、車椅子で市バスを利用するときは(その方は娘さんが車椅子を利用されているのです)、あらかじめ交通局に電話をし、ノンステップバスの時間を聞いて利用する、ときいていましたので、来るバスが果たしてノンステップバスかどうか心配でした。ノンステップバスが来ても、歩道とバスの隙間を最小限にぴったりと寄せるには、かなりの技術を要することや、車椅子の固定や、車椅子固定の場所にどなたかが座っていらしたときには、どいてくれるように説得することが必要だったり、なかなか大変だと、彼女は教えてくれました。できることがあれば、お手伝いをさせていただこう、と思っていました。
そこへバスが来ました。ドアが開いてみると、お客さんは乗車口までいっぱいです。車椅子固定位置にはぎっしりとお客さんが立っています。「すいませーん。次のバスにしていただけますか?」と運転手さんの声。車椅子の彼は、「急いでいるのですが、ダメですか?次はすぐに来ますか?」と尋ねました。運転手さんは無線を使って状況を次のバスに伝えましたが、次のバスもかなり込んでいる様子でした。「次は29分(この時26分だった)です。次にしていただけますか?あ、どうぞ乗ってください。」と私だけ先に載せていただいて、満員バスは発車しました。まもなく、運転手さんの無線から、「車椅子のお客さん、ご乗車していただけました」の声が漏れ聞こえ、ホットしたものの、なんだか割り切れない気持ちが残りました。
伊丹市バスのノンステップバスの普及率は70%を超えていて、バス会社の中ではいいほうです。それでも、電話で確認をしなければ、そのバスに当たらないことだってある。急いでいてもスペースの関係で断られることもある。車椅子用の駐車スペースは、常に空けているように思いますが、バスの車椅子スペースは、どうしたらいいのでしょう。車椅子スペースに可動式の椅子が着いている場合は、座っている人に退いてもらわなければなりません。やはり、車椅子スペースには、可動式であっても椅子を置かないほうがいいと思います。他のお客さんがちょっとずつ詰めあって、ぎゅうぎゅうでも一緒に乗るのが、ユニバーサルかな、って思います。でもそのときでも、車椅子の方の安全が優先されなければいけないことは、言うまでもないことですが。
ハードが整備されていても、ユニバーサルな社会になるには、ソフトの部分がまだ足りません。「ちょっとの勇気とちょっとの思いやり」、言葉だけわかっていても、実践できない自分に反省の日でした。