鳥取市で市庁舎の新築か耐震改修かを決める住民投票が20日に行われ、耐震改修案が多数となったことをご存じでしょうか。
鳥取市庁舎は昭和38年~39年に建設され、老朽化が進んでいることと耐震強度が低く震度6以上の大地震では倒壊か崩落の恐れがあると診断され、思案中だったそうです。中心市街地の活性化と公共事業による経済の活性化を見込んで、平成23年10月に新築基本計画(案)をまとめ、パブリックコメントを経て、平成24年2月に最終案が予算とともに議会に提出され議決されました。一方で、平成23年8月に、新築反対の市民が新築の是非を問う住民投票を求めて、有権者の3分の1にあたる5万人の署名を添えて直接請求しましたが、議会では否決されました。しかし、5万人という市民の声を無視できないとした市議会は、2月議会で新築案と耐震改修案の2案で住民の意見を聞く住民投票条例を議員提出議案として提案、全会一致で可決し、今回の投票となったのです。
新築案は必要経費およそ74億8千万円、改修案は20億8千万円。いずれも財源に合併特例債をあてることとしていました。合併特例債は、事業予算の95%まで起債が可能で償還額の最高70%が交付税算入される、いわば国のお金で建物が建てられるという、お金の無い地方自治体には大変ありがたいものです。
鳥取市民は、庁舎の新築に多額の税金を使うよりも、今ある施設を改修し、できるだけ長く使っていく道を選んだのです。国のお金といっても国民みんなの税金なわけですから、今の国の財政状況を見れば自分の自治体だけ贅沢していいわけがない、という判断なのだと思います。
改修したとしても、あと何年もつかわからないのに、新しい建物が建ったら仕事がしやすくなるし、利用者の利便性もよくなるのに、国がお金を出してくれるのに、地元の建設業者が潤うのに、中心市街地が活気づくのに、駅前が綺麗になるのに・・・
そういう声がどこからか聞こえてくるような気がします。
伊丹市でも耐震強度の劣る庁舎を懸念して、災害の拠点となる防災センターを建設するそうです。庁舎については、とりあえずこのままにしておいて、10年後に新築するという(新築するかどうかはその時の市長に委ねられることになりそうですが)計画となっています。
その時、伊丹市民はどう判断するのでしょうか。