わざわざ「女性」と書かなければならないことが残念ですが、
36歳の越直美さんが市長に選ばれました。
おめでとうございます。
近隣では、尼崎市長の稲村さん、宝塚市長の中川さん、芦屋市では1991年に北村さんが全国初の女性市長に選ばれています。男女共同参画社会基本法が1999年に制定されましたが、女性の社会進出が広がっていないのが、世間一般の現状だと感じます。
だから、越さんの当選はとてもうれしいです。
伊丹市男女共同参画行動計画の2012年度見直しにあたって、みんなで計画を読もう、という会に参加させていただきました。なかなか啓発が進んでいなくて、市民意識は時代を遡っていることに、どうすればいいだろう、と皆で話し合っています。
啓発も大事だけれど、実践に勝る啓発は無いと思っています。
女性のロールモデルがもっともっと増えることが、女性の選択の幅を広げ、社会が豊かになると私は確信しています。
実践からはちょっと話がそれますが、日曜日の日経新聞にこんな記事がありました。賛否両論があるでしょうが、私はこの考え方に賛成です。専業主婦であるかないかの前に、一人の人間として社会に位置付けられるべきだと考えます。
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中外時評 「内助の功」棚卸しの時
論説委員 岩田三代 (1月22日付日経新聞より)
「男は仕事、女は家庭」。今の日本の社会には、こうした価値観の下でつくられ、その後の見直しが進んでいない制度や慣行が多く残っている。税と社会保障の分野もその一つ。年金の「3号被保険者制度」や所得税等の配偶者控除など、これまでもさまざまな議論があったが、抜本改革は行われていない。
政府・与党がまとめた社会保障と税の一体改革素案では、これらの問題は「引き続き検討する」と結論を先送りしている。だが、少子高齢化で労働力人口は減っていく。男女が働くことを前提にした制度に思い切って変える時がきている。
昨年の今ごろ、世間の注目を集めたのが主婦の年金切り替え忘れ問題だ。会社員や公務員の妻は保険料を納めなくても、国民年金の3号被保険者として基礎年金を受け取れる。だが、夫が脱サラや定年退職すると、自営業の妻と同じ1号に切り替え、保険料を納める必要がある。
これを忘れて、低年金や無年金の恐れがある主婦が100万人近くいることがわかった。厚生労働省が打ち出した救済策があまりに甘すぎて、保険料を払ってきた人との公平性が保てないと大きな問題になった。
根っこにあるのは、国の制度でありながら会社員の妻は保険料が不要で、そこから抜けると必要になるという「3号」制度がはらむ矛盾だ。
厚生年金は当初、専業主婦家庭を前提に夫婦で暮らせる額を支給していた。だがあくまで夫名義。離婚した妻は無年金になる。7割の妻は自ら保険料を払い国民年金に加入していた。
これを1985年に改め、妻の保険料は厚生年金の加入者全員が肩代わりし、基礎年金を受け取れる仕組みに変えた。当時から保険料を負担する独身者や共働きの主婦などからは不公平を訴える声が強かったが、専業主婦家庭が多くを占めるなかで導入されたものだ。
だが今や働く人の4割は女性だ。80年に1114万世帯あったサラリーマンの専業主婦家庭は2010年には797万世帯に減り、共働きは逆に614万世帯から1012万世帯に増えている。「夫は仕事、妻は家庭」という考え方に賛成する人も79年には7割強いたが、09年には4割強まで減った。
日本は女性活用が遅れ、企業の管理職や役員の女性が少ない。高学歴女性の就業率も8割を超す国が多い欧州に比べ、日本は67%にとどまる。国の基本的な制度が「専業主婦誘導型」につくられているのがその一因ともいわれる。
政府は「3号」の見直しについて、夫の収入の半分は妻のものとみなし今の制度を変えない方向だ。それでは問題は解決しない。保険制度を維持するなら専業主婦も保険料を負担するのが筋だ。
ただそうなると既に4割を超えた未納者がさらに増える恐れがある。日本経済新聞社は消費税を上げ基礎年金をすべて税でまかなう方式を提言している。民主党が主張する最低保障年金も税方式だ。これだと「3号」問題はなくなる。女性間の不公平是正に向け、税方式の議論は避けて通れないはずだ。
専業主婦世帯の課税所得を圧縮し税負担を軽減する所得税等の配偶者控除も同じ。「無収入なのだから控除は当然」との意見もあるが、税理士の遠藤みちさんは「働けない子どもや障害者と違い、専業主婦は夫婦の選択でそうした生き方を選んだ。控除はおかしい」と主張する。
もちろん専業主婦も働いている。だが料理や掃除、洗濯などは共働きや独身者でもこなす。専業主婦家庭では夫が妻の提供するサービスの恩恵を受けている。
高度経済成長期には、企業の最前線で働く夫を支える妻の役割が高く評価された。だが今はそういう時代ではない。「内助の功」を棚卸しする時だ。
社会的に評価する必要があるとすれば、一人では暮らせない子どもや介護が必要な人へのケアだろう。現在は、税も社会保障も主婦という「身分」で判断されている。同じ主婦でも育児や介護で頑張る人もいれば、優雅に趣味を楽しむ人もいる。
一方、育児・介護を担うのは、専業主婦に限らない。男女の別や未・既婚にかかわらず、何らかの配慮は考えていい。
少子高齢社会で目指すべきは男女が働いて税や社会保障の担い手となり、家庭や地域も大切にできる生き方だ。そんな方向へ向けて国も企業も個人も古い制度や慣行を見直したい。