21日から裁判員制度が始まっています。幸いにか、不幸にか、私のところに「赤紙」はきませんでした。「来た」ということを「家族以外」には言ってはならないらしいですから、誰が裁判員となるのかは、世間の人は知らなくて当然でしょう。
この裁判員制度、これまでの審理の長期化を是正するため、裁判の可視化のため、国民に親しまれる司法のため、という理由ですが、これらの問題が、国民が裁判員として裁判に参加しなければ解決されない課題なのでしょうか。課題の根底にある原因を追究し、そこを変えていくことがまず求められるべきだと考えます。
私は、「赤紙」1枚で裁判員として呼びつけられ、思想信条良心の自由を考慮されることなく判決を下す義務を負わされる、この制度に反対です。これまで、法律の専門家のみが裁判をおこなってきたことには、人を裁くことの難しさが根底にあったのだと思います。人は、感情の生き物です。感情ではなく法律で人を裁くことが、本当にできるのでしょうか。
この制度の導入で、このような事態も起こります。知り合いのブログからの転送です。
**************
八木啓代さんhttp://nobuyoyagi.com/のブログから
21日から、議論を尽くしたわけでもないのに、いつの間にやら勝手に決ま
ってしまった裁判員制度が始まるが、それを目の前にして、女性だったら、
血が凍るような話が明らかになった。
あまりといえば、あまり。
開いた口がふさがらないような話なので、みなさん、ご協力ください。
男性であっても、自分のパートナーや家族、友達の女性の問題、と考えて
みれば、他人事ではないはず。
日本という国は、それでなくても、性犯罪の罪が軽いところがある。
大臣や知事が、「男はレイプぐらい出来なくちゃ」とか「それぐらい元気
がある方が」というような発言をするような国だからだ。
だから、性犯罪被害を受けた女性に対しても、被害者であるにもかかわら
ず、心ない言動があったりすることもめずらしくはないし、その告発や裁
判自体が、セカンドレイプと呼ばれるほど、女性を傷つけるものであるこ
ともめずらしくはない。
そのような中で、それでも勇気を持って訴えを起こした女性が、それ以上
にとんでもない目に遭うかもしれない、という怖ろしい話である。
21日から始まる判員制度では、その裁判員は、その事件の当事者とは
無関係でなくてはならない。
「無関係でなくてはならないがために、当然、その事件の当事者が誰であ
るか知らなくてはならない」というために、この選任手続きにおいて、性
暴力事件被害者の氏名が裁判員候補者に開示されてしまうことが明らかに
なったのだ。
しかも、裁判員に守秘義務はあるが、候補者に守秘義務はない。
すでに裁判を控えている、被害者女性たちはパニックに陥っているという。
あたりまえだ。
それに、こんなことが明らかになれば、レイプ被害を訴えることなどでき
なくなってしまうだろう。いったい、どんな国だ。
***大至急!**転載転送大歓迎**
///////////////////////////////////////////////////////////////
裁判員選任手続きにおける性暴力被害者の安全とプライバシーの
確保を求める緊急要請にご賛同ください
///////////////////////////////////////////////////////////////
みなさま
5月6日付読売新聞九州版で報じられたように、21日に開始される裁判員
制度の裁判員選任手続きにおいて、性暴力事件被害者の氏名が裁判員候補
者に開示されてしまうことが明らかになりました。しかし最高裁はこの問
題について対策指針を出していません。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20090506-OYS1T00229.htm
被害者保護の手段を講じることなく制度を開始してしまわないよう、緊急
の要請を行うことにしました。21日まで時間がありませんが、できるだけ
多くの団体・個人の声を届けたいと思いますので、どうぞご協力をお願い
いたします。
なお最高裁への申し入れを19日に予定しています。
●賛同署名の集約先●
以下のフォームを利用して[email protected]にお送りください。
※19日を過ぎましたが、継続して集めていますので、ご協力お願い申し上げます。
------------------------------------
裁判員制度における被害者のプライバシー確保を求める要請に賛同します。
●団体賛同の方
団体名:
●個人賛同の方
氏名:
肩書き(あれば):
------------------------------------
要請書
////////////////////////////////////////////////////////////////////
裁判員選任手続きにおける性暴力被害者の安全とプライバシーの確保を
求めます
////////////////////////////////////////////////////////////////////
最高裁判所長官 竹崎博允 様
私たちは、性暴力被害者の権利回復の観点から、5月21日より開始さ
れる裁判員制度における性暴力犯罪の取り扱い、とりわけ被害者のプラ
イバシー保護について、重大な懸念を抱くものです。
裁判員が参加する刑事裁判が対象とする事件には、性暴力犯罪である強
姦致死傷、強盗強姦、強制わいせつ致死傷、集団強姦致死傷が含まれま
すが、これらは対象事件の2割以上を占めると予想されています。にも
かかわらず、報道によれば、性暴力犯罪事件においても、他の事件と同
様に、それぞれの事件で100人にも及ぶ裁判員候補者に対し事件の概要
と被害者の氏名が知らされるとのことです。
裁判員候補者が事件の情報を漏洩することは「裁判員の参加する刑事
裁判に関する法律」の秘密漏示罪の対象とはならず、漏洩を防止する確
実な手段は整備されていません。しかし最高裁判所はこの問題に対する
対策の指針を出さず、各地方裁判所に解決をゆだねる方針であると報じ
られています。これでは、地裁によってまちまちな解決策となり、被害
者のプライバシー保護が公平に保障されない可能性が否めません。現在
刑事裁判において被害者のプライバシーが保障されていることとも大き
く矛盾します。
性暴力犯罪は他の犯罪と異なり、性・ジェンダーに関わる社会的偏見
ゆえに、しばしば被害者の側に責任が転嫁されたり、スティグマが付与
されてきました。
適切な配慮が行われなければ、裁判プロセスそのものが二次被害を及ぼ
す場となる危険性があります。こうした性暴力犯罪の特殊な性質が考慮
されることなく、他の刑事事件と同様の選任手続きが行われれば、被害
者に二次被害発生の不安を呼び起こすだけでなく、二次被害を避けるた
めに、被害にあっても被害届を出さないといった傾向を助長することに
もなりかねません。
一般市民が参加する裁判員制度で性暴力犯罪を取り扱う上では、性・
ジェンダー偏見を排除するために十分な配慮を払い、被害者のプライバ
シーと安全を確保することが必要不可欠です。事件情報の漏洩を確実に
防止する措置を講じることなく、拙速に裁判員制度を開始すれば、この
制度そのものが、被害者にさらなる加害を招き、性暴力犯罪の訴追と被
害者の救済を阻害する原因となりかねません。
被害当事者および支援者との協議のうえ確実な安全保護の措置が講じら
れるまで、裁判員制度の開始を延期するか、それが困難な場合は、性犯
罪に関連する事件について裁判員選任手続きを開始しないよう要請いた
します。
-------------------------------------------------
**************************************
アジア女性資料センター
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町14-10-211
TEL:03-3780-5245 FAX:03-3463-9752
E-mail:[email protected]
http://www.ajwrc.org/
「女たちの21世紀」最新刊「女性の貧困」特集
http://ajwrc.org/jp/modules/myalbum/photo.php?lid=159&cid=1