新聞下段左右ぶち抜きの宣伝に、上戸彩ちゃんのTVCM。マイナンバーが今年の10月から順次、個人に通知されるというお知らせが繰り返されています。
ひとりひとり(auのCMではありませんが)に12ケタの番号が付与される。彩ちゃんは「あなたにも届きます」なんて嬉しそうに語っていますが、うれしいプレゼントではなさそうです。
これは、要するに「国民総背番号制度」がいよいよ始まるということです。導入のメリットは、
1.国民の利便性の向上 - 面倒な行政手続きが簡単に
2.行政の効率化 - 行政手続きを正確に
3.公平・厚生な社会の実現 - 給付金などの不正受給の防止
とされていますが。
来年の1月からは、年金にもこの番号が、役所への種類にもこの番号が、就職にもこの番号が、銀行の口座開設や預金にもこの番号が必要になります。さらに、健康保険証にもこの番号が必要となります。私たちのすべての経済活動や公的な機関がかかわるおそらくすべての事業にこの番号が使われることとなります。どこに勤めて、どれくらいお給料をもらって、年金をいくらかけて、いくら貯金して、どこの病院に行って、どんな薬をもらって、どこの保険会社の保険に入っていて、どこの図書館でどんな本を借りて・・・・ この番号で名寄せをすれば、私たちの個人情報は丸裸です。
2006年に住民基本台帳システムが稼働を始めた時、あの桜井よしこさんまでもが「私は番号になりたくない」との文章を出しています。当時は、結構な反対論議が巻き起こり、反対の立場をとる書籍などが出版されました。今回は、住基ネットよりもはるかに影響の大きい「マイナンバー制度」なのに、反対意見がほとんどメディアでは出てきていないような感じがします(私が新聞やTVやネットをあまり見ていないからでしょうか)。
以前の住民基本台帳に振られていた11ケタの番号と何が違うのでしょうか。あの時も「行政手続きを簡素化する」という触れ込みでした。たとえば、住んでいる以外の場所でこの「カード」があれば、住民票を取ることができること、パスポートを取るときに住民票が不要になること、e-taxで納税申告をするときに、カードリーダーを使えば、自宅から手続きができること、などが上げられました。住基カードに記載された項目は、発行市町村名、氏名、生年月日、性別、住所(写真付きのカードは本人の写真も)のみです。このカードは、「住民基本台帳」が示すように、どこに住んでいる誰か、ということをはっきりさせた、だけにとどまりました。また、本人を示す身分証明書としての利用も期待されましたが、発行枚数も現在までで累計834万枚、有効カード666万枚と、国民全体の5.2%に過ぎませんでした(総務省HPより)。今度のマイナンバーカードは、住基カードの二の舞とならないように、健康保険証の代わりにもなるようにするそうです。すべての人が、好むと好まざるにかかわらず、マイナンバーカードを持たなければならなくなるのですね。
今回のマイナンバーは、この住基ネットの11ケタの番号で「住所などの4項目」を呼び込みます。住基ネットはマイナンバーのお試しだったのですね
カードが送られてきたら、本を借りるのをやめよう、貯金するのをやめよう、カードで買い物するのもやめよう、病院にかかるのもやめよう、私の情報をできる限り知られないようにしよう、なんて思う人も出てくるかもしれません。
一番気になるのは、情報の漏えい、情報の管理、情報の悪用。アメリカのような「なりすまし」IDカード犯罪が起こらないとも限りません。やっぱり、なんだか嫌な気持ちです。